Blog
ブログ

2023年4月9日 10:59 建設中
【原村プロジェクト】リビングの大きな開口部


八ヶ岳の別荘、原村プロジェクトの最大の見せ場は南西に大きく開いた窓です。夏になると全面が緑に囲まれることは、森の中に建つ建物ならではの魅力です。そのポテンシャルを最大限引き出すために、原村プロジェクトではいくつかの工夫をしています。

一つは地面から1.8mくらい浮いたところにリビングを設けています。1.8mというのは、一般的な住宅の1階よりは高いが2階ほどは高くない、というレベルです。建物のレベルとしては中途半端な高さにはなりますが、あえてそうしたのは目線の高さを敷地に生えている木の枝葉と揃えるためです。木の枝葉を下から見上げるでもなければ上から見下ろすでもなく、同じ高さに身を置くことにより森と一体になったような感覚が得られることを期待しました。

もう一つはサッシの存在感をできるだけ消しています。原村プロジェクトのリビングにはアイランドプロファイル社の木製サッシを採用しています。製作サッシとせず既製サッシとしたのは寒冷地に必要な断熱性能を確保するためですが、既製サッシは無為に納めてしまうとどうしても存在感が出てしまいます。ここでは柱や梁の後ろにサッシの枠や框を隠すように納まりを工夫し、室内と外に遮るものが何もない(ように感じる)ようにしています。それによって森との一体感がさらに強くなります。

開口部の設計は設計者が最も力を注ぐ部分の一つです。特に森の中に建つ原村プロジェクトは開口部が最も大事でした。本プロジェクトの全ては、リビングの窓の大きさや位置、納まりをどうするかというところから始まっています。こうして出来上がりを見てみると狙い通りにできたのではないかと満足しています。